経済ニュース
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東方通信社発行 学苑報
日本は高い不動産価値を生かして アジアの資本を 取り込んでいくべきだ!! |
2011年 1月 05日(水曜日) 13:05 | |||
急速な経済成長とともに、北京や上海といった中国沿岸部の不動産が高騰している。また、今夏に話題になった中国の機関投資家による"日本買い"も記憶に新しい。そこで、今号では科技日報の葛進氏が、日中の不動産事情に詳しい林述斌氏にインタビュー。中国の不動産事情について聞いた。 財団法人 日本不動産研究所 研究部国際評価室研究員 林述斌 (りん・じゅつひん リン・シュービン)
葛進・科技日報東京支局長 林さんはどういった経緯で来日したのですか。 林述斌・日本不動産研究所研究部国際評価室研究員 私は武漢工業大学で土木を勉強した後に、ゼネコンや外資系企業を経て、平成15年に留学のため日本に来ました。そして、明海大学大学院ではいずれ中国でも必要になると思い、不動産金融学を専攻しました。 葛 日本に対してどのような印象を持っていますか。 林 最高に住みやすい国だと思っています。国民のマナーもいいし、食べ物も美味しいし、それに行政サービスも行き届いています。一方で中国はまだまだ未成熟な部分が目立ちます。たとえば、日本人は電車待ちなどでキチンと並びますが、中国でほとんど並びません。並んだほうが効率的だし、みんなが快適に乗車できるのですが、中国社会では並ぶというマナーが浸透していないのです。また、日本に比べると行政サービスの対応が遅く、多少苛立ちを覚えることがあります。 葛 日本ではどのような仕事をしてきたのですか。 林 最初は金融会社に入ったのですが、その会社が倒産してしまったので、不動産会社で不動産投資や不動産ファンドの組み立てなどを行っていました。しかし、サブプライムローン問題で業績が悪化し、不動産ファンドに関する会社はつぎつぎと倒産してしまいました。そこで、つぎの就職先を探していたところ、現在の(財)日本不動産研究所に入ることができたのです。 葛 日本不動産研究所ではどんな業務を行っているのですか。 林 日本や海外の不動産情報の受発信や研究を行っています。また、当研究所は積極的に中国の関連機関と交流や共同研究を行っており、最近では中国社会科学院との共同研究をすすめています。研究結果は日本不動産研究所で発行している『不動産研究』2011年1月号に掲載される予定です。さらに、中国の中国土地勘測規劃院(中国国土資源部の下部組織)と協力して、中国の土地問題に関する研究を行うプロジェクトもすすめています。 葛 中国沿海部の不動産価格が急激に高騰していますね。 林 ここ数年で上海や北京のマンション価格は、異様なまでに高くなりました。一部のマンションの価格については、東京とほとんど変わらないか、それ以上になっています。もはや一般市民の手が届くような価格ではありません。ただし、政府は今、不動産価格抑制策や所得倍増計画を打ち出しているので、徐々に不動産価格と個人収入とのギャップは埋まっていくでしょう。 葛 日本のバブル崩壊のように、中国の不動産価格が急落するような恐れはありませんか。 林 日本の場合と違って、中国の場合はしばらくの間、人口が増えつづけるといわれています。つまり、それまではつぎつぎと不動産に対するニーズが拡大していくわけですから、不動産価値が急激に下がるということは考えられません。仮に農村部から都市部に年間2000万人の人口が流入するとすれば、年間600万戸ほどの家なりマンションなりが必要になってくるわけです。また、今のところ中国では賃貸マーケットがまだ未熟ですが、今後は、都心部への人口流入とともに、賃貸マーケットも拡大していくことになるでしょう。 こうした都市部への人口流入が増える一方で、これからは都市部から田舎暮らしを求めて、農村に向かう人たちも増えていくと思います。日本でいうところのIターン、Jターン、Uターンといった現象が増えてくると思います。最初は賃貸マンションに住み、それからマンションを購入し、そして子どもが大きくなった頃に一戸建てを購入して、定年後は田舎暮らしといった具合に、年齢に応じて住まいを変えていくという、日本的なスタイルに近づいていくかもしれません。 葛 内陸部の開発もすすんでいるようですね。 林 そうですね。すでに重慶に多額の国家予算が投入されることが決まっており、本格的な企業誘致がすすめられています。また、重慶以外にも中国の内陸部にはまだまだ未開発の地域があるので、今後も段階的に開発がすすめられていくでしょう。そしてそれにともない、北京や上海といった沿海部の都市は、世界中の銀行や証券会社を集め、第三次産業を発展させ蕫金融都市﨟に進化していくと思います。その結果、沿海部の不動産価格が安定し、内陸部の地価が上がっていくと思います。 葛 一時期、中国の機関投資家による蕫日本買い﨟が話題になりましたが、その後の動向はいかがでしょうか。 林 夏頃までは目立った動きがありましたが、最近は政治問題や円高の影響で冷え込んでいます。しかし、日本は非常に高い不動産投資価値を持っているので、今後は積極的にアジアとの不動産取引をすすめていくべきだと思います。そして、中国のように外資の力を巧みに取り込みながら、さらなる飛躍を目指していくべきです。 そこで、日本不動産研究所ではアジア全体での不動産取引のプラットフォームをつくろうということで、日・中・韓の3カ国によるシンポジウムを開催したりしています。まずは日本不動産研究所がシンクタンクとして、アジア全体の不動産取引の活性化に貢献したいと考えています。 葛 これからも日中の不動産ビジネスの発展に貢献しつづけてください。本日はありがとうございました。
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最終更新 2013年 11月 03日(日曜日) 02:11 |