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Home ぐるっと日本 甲信越 山梨県 日本でのビジネス体験を生かして 日中をつなぐ財務会計ソフトを開発!!
日本でのビジネス体験を生かして 日中をつなぐ財務会計ソフトを開発!! 印刷
2010年 11月 25日(木曜日) 16:57

中国に進出した日系企業の多くは、現地での税務会計に頭を悩ませている。そんな日系企業の現状を見て、ABX Soft㈱の崔一平氏は「日中バイリンガル財務会計パッケージソフト」を開発。言語だけでなく、中国の税制などにも対応しているということで、いまや主だった日系企業が利用しているという。さっそく、このソフトが完成し、ヒットするまでの経緯について、北京放送東京支局長の謝宏宇氏にインタビューしてもらった。

suiyiping

ABX Soft代表取締役

崔一平(さい・いっぺい ツイー・イーピン)

1954年生まれ。85年上海第二医学大学医療学部卒業。88年日本のCSD㈱(knowledge Well㈱)にて人工知能ソフトの開発に従事。89年日本の㈱ミロク情報サービスにて企業管理、財務会計ソフトの開発に従事。02年㈱ミロク情報サービス上海開発会社のコーディネーターとして従事。03年ABX Soft㈱(上海)を設立後、多通貨・多言語・Web対応の日系企業専用の日中バイリンガル営業資産在庫管理、財務会計連動ERPパッケージソフトの開発・販売などを展開している

謝宏宇・北京放送東京支局長 崔さんはどのような経緯で来日したのですか。

崔一平・ABX Soft代表取締役

私は82年に上海医学第二学院という医学系の大学に進学し、卒業後はそこで勤務医として2年間ほど勤務していました。しかし、当時の私は中国にいることに対して、何か焦りのようなものを感じていました。ときには日本の医療機器メーカーの技術力を知り、焦燥感を覚えることもありました。そうこうしているうちに、私はコンピュータなどの先端機器にも関心を持つようになったのですが、そうすると日本の研究開発の技術が高いということがわかってきたのです。それで、思い切って日本の技術水準の高さを体験してみようと考えたのです。

―来日してからはどんな仕事に携わってきましたか。

崔 最初はCSD㈱というソフト会社で、1年間ほど人工知能の研究に携わりました。と同時に、3カ月間ほど日本語学校に通って勉強しました。

―ずっと人工知能の研究を行ってきたのですか。

崔 CSDで研究した後は、富士通フィルムの子会社に半年間派遣され、人工知能の研究に携わりました。その後、90年に会計ソフトの製造・販売を行う㈱ミロク情報サービスに入り、02年12月に退職するまで製品開発などを担当してきました。

―現在の会社を設立したのはいつですか。

崔 03年1月です。上海で100万元の資本金で会社を立ち上げました。とはいえ、最初は何をビジネスにすればいいかもわからなかったので、まずは友人や知り合いの会社を訪ねて回りました。すると、日系企業がふたつの悩みを抱えていることがわかったのです。

―その悩みとは何だったのでしょうか。

崔 ひとつ目は会計財務制度で、もうひとつは人事管理に関することでした。日本と中国は文化や生活、法令制度といった点で大きく異なります。そこで、そういった違いに対応できるようなソフトをつくれないかと考えるようになったのです。

―その後、商品開発にどのくらいの時間をかけましたか。

崔 3年間ほど商品開発に時間をかけて、「i財務会計」という多通貨・多言語・インターネット対応の「日中バイリンガル財務会計パッケージソフト」を開発しました。そして、5年目にやっと「使ってみよう」という日系企業があらわれたのです。以来、徐々に評判が広まり、毎年前年比30精増のペースで売上げが伸びるようになりました。とくに今年は好調で、すでに6社から新規の注文を受けました。現在契約している20数社のほとんどは、日本の大手優良企業です。現在、社内の営業マンは私ひとりなのですが、いくつかの協力会社と代理店契約を結んでおり、着実に販路を広げることができています。

―ソフトはパッケージ販売しているのですか。

崔 当初はパッケージ販売をメインに考えていたのですが、案外とリース契約(サーバーとソフト)に対するニーズが高かったので、今はそちらをメインにしています。月ごとにソフトの使用料、サーバーレンタル代、メンテナンスなどをいただくようにしています。ちなみに、ソフトの提供方法についてはSaaS(Software as a Service、インターネットを経由して必要なソフトや機能を必要な分だけ利用できる仕組み)型をとっているため、リーズナブルになっています。日系企業からは「現地決済ができるので助かる」と評判です。

―機能的にはどういった点が評価されていますか。

崔 多くの日系企業は税務申告に頭を悩ませています。制度が違うのはもちろんのこと、中国では毎月税務申告を行う必要があるからです。そして、そうなってくると本社への報告書もキッチリと作成する必要が出てくるので大変です。そこで、私は「i財務会計」に月単位での税務申告や報告書の作成を同時に行えるような機能を盛り込んだのです。

―今は中国法人ですが、今後、日本に法人を設立する気持ちはありますか。

崔 もちろんです。ただ、日本と中国では従業員のマネジメントの手法が大きく異なるので、慎重にすすめていきたいと思っています。たとえば、日本では「阿吽の呼吸」が通じますが、中国では一から十まで指示しなければなりません。そういったギャップに対応できる体制をつくって、日本でも法人を立ち上げたいと思っています。

謝 是非とも日本法人を立ち上げ、より一層、日中でのビジネスに励んでください。本日はありがとうございました。