官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長は10日午後、東京都内で記者会見し、自らを含めた民間出身の取締役9人が辞任すると表明した。所管官庁の経済産業省と報酬、投資手法をめぐり対立、関係修復は困難と判断した。新規産業創出を目指した官民ファンドは発足から3カ月足らずで機能停止の危機に陥る。
東京地検特捜部は10日、日産自動車の有価証券報告書に、前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)の役員報酬を少なく記載したとして、金融商品取引法違反の疑いで、ゴーン容疑者と前代表取締役グレゴリー・ケリー容疑者(62)を再逮捕した。
高額報酬問題をきっかけに所管官庁の経済産業省と対立を深める国内最大の官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)が、投資資金の一部を公開株など金融商品の運用に充てる検討をしていることが7日、わかった。金融商品の運用による利ざや稼ぎは、新産業の育成というJIC設立の趣旨にそぐわないとして、経産省はJIC経営陣への不信感を強めている。関係者によると、経産省は11月に入り、公開株の運用に投資資金を充てる計画を把握した。