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日本の「原発問題」をテーマにして 日本語弁論大会で中国人学生たちが即席スピーチ!! 印刷
2011年 5月 01日(日曜日) 00:00
3月26日、27日に開催された「日中友好の声日本語中国語弁論大会」。今号では中国で最長の歴史を誇るこの弁論大会の模様をリポートする。 
 
1989年にはじまった「日中友好の声日本語中国語弁論大会」(主催は日中友好の声日本語中国語弁論大会実行委員会、主催事務局は東方通信社)が、3月26日(第20回天津・北京大会)、27日(第6回全国大会)に天津外国語大学で開催された。本大会は中国で最長不倒を誇る日本語弁論大会ということもあって、この20年間で入賞した弁士の数は500名を超える。もちろん、その多くは政府職員、研究者、対日ビジネスの責任者、メディア記者などになり、蕫日中の架け橋﨟として活躍中だ。26日夜には、そうした過去の出場者と今回の出場者による交流会も催された。

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今回の大会は東日本大震災を意識したものとなった。26、27日の両日、大会開始前には東日本大震災の被災者に向けて黙祷が捧げられ、27日の大会では即席スピーチのテーマとして「今般の原発事故に思うこれからのエネルギー問題」があげられた。即席テーマの決定に際して、「学生には難しいのではないか」「日本の事情をどれだけ把握できているかわからない」といった声もあったが、ほとんどの学生たちは見事に原発事故に対する思いや考えを語っていた。ときには「原発事故を繰り返さないためにも、中国ですすめられている原発開発をあらためて検討するべきではないか」といった提言まで飛び出すなど、中国人学生たちがいかに福島原発問題に関心を持っているかをうかがわせた。

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弁論大会には田中勝巳長野県木曽町町長(左)や秋元竜弥秋元国際奨学財団理事長(右)なども応援団として参加し、27日の大会では来場者たちにそれぞれの活動をPRした 

数回にわたり本大会の審査員を務めている東北大学大学院の橋本逸男教授も「今年は非常にレベルが高い大会だった。日本語の発音やイントネーションはもちろんのこと、即席スピーチの内容の濃さには驚かされた」と感想を話した。27日に審査委員長を務めた金田一秀穂杏林大学外国部学部教授も「全体的にレベルが高いので驚いた。これ以上の上達を望むなら、ジックリと母国語の勉強をするのもいいでしょう。そうすれば自然と表現力が身に付くはずです」と講評し、弁士の実力を賞賛した。

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27日の大会で講演する金田一秀穂杏林大学外国部学部教授

そんな激戦の末に全国大会で特賞を射止めたのは天津外国語大学三年生の楊楽頴さん(21歳)。日本への留学経験はないものの、その日本語はネイティブかと疑ってしまうほどに流暢。「将来は日系企業で働いてみたい」と笑顔で喜びを語った。なお、大会の模様は日中両国のメディアでも取り上げられ、日本ではNHK、中国では中国国際放送局、新華社、天津日報、中国新聞網などで報道された。

 

第1回大会が始まったときから、中国は目覚しい発展を遂げ、北京オリンピックや上海万博といった世界的なイベントを成功させてきた。そして、それにともない日中関係は双方にとってますます重要なものになっている。これからも本大会から日中の架け橋となる人材が生まれることに期待したい。 

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大会翌日の28日には在中華人民共和国日本国大使館(北京市)を協賛企業や関係者とともに表敬訪問を行った 

なお、優勝した楊楽頴さんをともなって、28日は在中華人民共和国日本国大使館を訪ねた。席上、丹羽宇一郎大使からは「日中の架け橋となる人材になってください」とねぎらいの一言があった。

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表敬訪問には特等賞を受賞した楊楽頴さんも同行。丹羽宇一郎大使と談話し、握手を交わした
 
第6回日中友好の声

日本語弁論全中国
 
グランドチャンピオン大会
 
成績一覧

 

特等賞  楊楽穎 天津外国語大学

 

一等賞  王璐  南開大学

 

二等賞  万昊  北京語言大学

 

権慧穎 東北師範大学

 

三等賞  王雨奇 天津外国語大学

 

孫李理 大連大学

 

董媛  清華大学

 

人気賞  劉佳瑶 上海外国語大学

 

李波  四川外国語学院

 

殊勲賞  蔡帛原 大連理工大学

 

苗沢遠 吉林大学

 

優秀賞  于淼  北京第二外国語大学

 

郎晶  遼寧師範大学

 

安海順 大連民族学院

 

張歓  西安外国語大学

 

唐嘉敏 北京外国語大学

 

張越  四川外国語学院

 

葛啓冬 淮陰師範大学

 

王爽爽 山東大学

 

何俊青 河北大学

 
特別参加賞  鈴木志歩 神戸市外国語大学 
(北京師範大学留学生)

最終更新 2011年 5月 17日(火曜日) 15:17
 
東京スカイツリー特集 印刷
2011年 4月 12日(火曜日) 14:04

経済波及効果880億円の「東京スカイツリー」が、あと1年で開業!!

 

「東京スカイツリー」でまちおこし!!

 

平成24年春開業を目指し、早くも559メートル(1月22日現在)を超えた東京スカイツリー。すでにそのお膝元である業平橋、押上界隈はカメラ片手の見物客で賑わいを見せている。土日ともなると、未完のスカイツリーを見るために浅草通り沿いに観光バスがズラリと並ぶほどだ。経済効果880億円ともいわれている東京スカイツリー、早くも官民あげてのウェルカム企画が目白押し。さっそく、周辺探検に出かけてみた。

 

 

「すみだ地域ブランド戦略」で

スカイツリー周辺産業が元気に

 

 すでに賑わっている東京スカイツリー界隈だが、実際に完成するとどの程度の経済効果が見込めるのか。墨田区産業経済課の鹿島田和弘課長によると「東京スカイツリーが完成したら、最初の1年間の来場者数は2500万人、経済波及効果は880億円に上ると試算している」という。そこで現在、この�スカイツリー旋風�を生かそうと、墨田区ではさまざまな取り組みが行われている。

 まずはモノづくりに関する動きを紹介しよう。そもそも「墨田区は生活まわりのモノづくりが中心に行われてきた地域。現在も繊維、印刷、皮革、金属といった分野のモノづくりの伝統が残っている」と鹿島田課長は話す。

 しかし、高齢化や後継者不足、海外シフトなどが原因で、事業所数は減少傾向にある。事実、事業所数推移のデータを見てみると、わずか8年間で約1500軒の事業所がなくなっていることがわかる。

 そこで、区では「東京スカイツリーの建設計画に合わせて、平成21年度から墨田区のモノづくりをPRし、ブランド化する『すみだ地域ブランド戦略』を展開している」という。具体的には「すみだブランド認証」によるブランド化、「ものづくりコラボレーション」による新商品の開発支援、ホームページやパンフレットなどによる情報発信などを行っているそうだ。

 その成果発表を兼ねて、1月15日には「すみだ地域ブランド戦略・シンポジウム」(会場:すみだリバーサイドホール・イベントホール)が開催された。シンポジウムでは水野誠一氏(すみだ地域ブランド推進協議会理事長、(株)IMA代表取締役)がコーディネーターを務め、同じくすみだ地域ブランドにかかわる出口由美氏(『婦人画報編集長』)、藤巻幸夫氏((株)シカタ代表取締役プロデューサー)、松山剛己氏(松山油脂�代表取締役社長)、山田遊氏((株)method代表取締役)がパネリストとして参加。パネルディスカッションでは、パネラーたちが墨田区のモノづくりのポテンシャルを評価するとともに、今後は「伝統のなかに、新しい要素を取り込んでいくべきだ」と指摘した。また、会場にはすみだブランド認証商品やものづくりコラボレーション商品など、この戦略から誕生した約76点の商品が展示され、来場客の注目を集めていた。

 さっそく、シンポジウム会場に展示されていた4社にヒヤリングしてみた。(株)片岡屏風店の代表取締役の片岡恭一さんは「ものづくりコラボレーション」に参加し、デザイナーに試作品のパッケージをデザインしてもらったという。「最近はミュージアムショップなどからの引き合いが多いので、洒落たパッケージに仕上げてもらえて助かった」と満足気だった。

 製本業を営む(株)伊藤バインダリーはデザインプランナーの松田朋春氏とコラボレーション。「製本業は完全受注産業だが、何とかエンドユーザーに手渡しできるような自社商品を開発したかった」と常務取締役の伊藤雅樹さんは話す。完成した「上質メモブロック」「ドローイングパッド」は、(財)日本産業デザイン振興会の「2010年度グッドデザイン賞」を受賞するなど、早くも注目を集めている。

 江戸木箸の(有)大黒屋には、スカイツリブームで直営店を訪れるお客が増えているという。この動きに合わせて代表取締役の竹田勝彦さんは、スカイツリーの高さ634�にあやかって、上部が六角形、中心部が三角形、先端が四角形となるように削った「下町の武蔵箸」を製作。「想像以上に握った感じがいい箸ができた。すでに生産が追いつかないくらい引き合いがきている」と微笑む。

 最後に伝統和菓子「砂糖漬け」を手がける(株)梅鉢屋にも聞いてみた。代表取締役の丸山壮伊知さんは「スカイツリーから当社までは1・5キロ以上離れていますが、それでもスカイツリーから歩いて来られる方が増えている。これからもスカイツリー効果に期待したい」と。ちなみに、大黒屋の「江戸木箸 五角・七角・八角 削り箸」「究極相棒」、梅鉢屋「江戸砂糖漬」はいずれも「すみだブランド認証」を受けている製品だ。東京スカイツリーとともに勢いづく墨田区のモノづくり、着実に進化を遂げ、脚光を浴びているようだ。

 

観光ボランティアの育成で

墨田区の観光を盛り上げる

 

 盛り上がりを見せる東京スカイツリー界隈だが、地域住民からは不安の声も聞こえる。「スカイツリーのなかには、商業施設や水族館、オフィス、展望施設などで構成される『東京スカイツリータウン』がつくられる。なかでも、商業施設『東京ソラマチ』には約300店舗の有名店が入居するようなので、いざ開業してしまうと、周辺地域にお客が来なくなるのではないか」というのだ。

 とはいえ、観光客が墨田区まで足を運ぶようになるのは間違いない。そこで、一般社団法人 墨田区観光協会では東京スカイツリーに来た観光客を回遊させる仕組みづくりに取り組んでいる。「墨田区は江戸の庶民文化が花開いた場所。いまだに相撲の両国、芸者のまち・向島が存在する。それに、質の高いモノづくり系企業が集まっているのも特徴だ。こうした“価値”をパッケージ化して、旅行代理店に積極的に売り込んでいきたい」と事務局長の小川幸男氏は話す。

 他方、観光協会では「まち歩き観光」を推進するために、まち歩きをサポートする観光ボランティアの育成にも力を入れている。「墨田区の歴史的遺産は水害や火災、空襲などでほとんど残されていない。だからこそ、観光客にその歴史や物語を伝えることが、『まち歩き観光』のポイントになってくる」と話す。昨年は66名のガイドを養成し、現在は約100名の体制で観光客を迎え入れているという。また、観光協会ではガイド育成用の教本『すみだ街歩きガイド』などを販売し、観光資源のPRに努めている。

 

スカイツリー周辺の商店街が

“スカイツリー旋風”で復活

 

 商店街の動きも活発になってきた。スカイツリーにあやかろうと、押上・業平橋地区の5商店街が協力して、「おしなりくん」というオリジナルキャラクターを制作。いまや商店街のいたるところで、おしなりくんグッズを見かけるようになった。また、商店街と墨田区は商店街に「おしなりくんの家」という観光客向けの休憩所を開設。平日には約200人、休日には約700〜1000人程度が訪れているという。副店長の衛藤早笑さんは「おしなりくんの登場で、この界隈に賑わいが生まれた。今では当店だけでなく、アチコチの店でおしなりくんグッズを販売するようになった」という。

 一方では「すみだ地域ブランド」をPRする試みも展開されている。それがアンテナショップ「すみだ もの処」(運営は墨田区観光協会)だ。1階にはすみだブランドに認証された商品のほか、墨田区を代表する名品がズラリと並び、2階では墨田区のモノづくりに関する企画展が行われている。なお、2階では2月15日までプランナーの山田遊氏による「美技礼賛—すみだのものづくりはウマい」が開催中だ。

 商店街の老舗店舗も観光客の呼び込みに力を入れている。煎餅屋「みりん堂」では「ぬれそふと」(210円)なる新商品を開発。ぬれ煎餅とぬれ煎餅の間にアイスを挟んだという変り種だが、ぬれ煎餅に染み込んだ醤油の風味が、アイスクリームの甘みと意外にもマッチしている。散策の際には是非とも食べてみたい逸品だ。

 5商店街のなかでもっとも知名度を上げたのは、そば処「業平橋かみむら」ではないだろか。昨年以来、依然として高い人気を誇る「タワー丼」(1800円)を食べられるお店だ。アツアツご飯の上には桜海老のかき揚がノッており、さらにその上には三角錐をつくるようにして3本の巨大な海老天が聳え立っている。その高さは約26�というからビックリ仰天だ。来店する観光客の大半がこのタワー丼を注文するというから二度ビックリだ。現在、平日は30食、土日は50食ほど出ているという。

 タワー丼を考案した伊藤松博さんは「タワーが建設される前まで浅草通りの通行量は1500人程度だったが、それが今では5000人にまで増えた。今後は各店舗の努力にかかっている。その努力しだいで下町の魅力も倍増する。そうなれば観光客を呼び込めるのではないか」と話す。

 モノづくりも商店街も賑わいを見せはじめた東京スカイツリーの周辺地域。これを機にいかにして下町情緒を守り、発信していくかを大いに議論してもらいたいものだ。

 

 

江戸木箸

◆(有)大黒屋

ニーズに合わせて約200種の箸を製造

機能性にこだわったオンリーワンの箸作り!!

 「もともと食器関係のセールスマンをやっていたが、どうも箸だけは自分にシックリくるものがなかった」。それが理由で箸職人に。そう話すのは大黒屋の竹田勝彦さん。

 そんな大黒屋の箸が全国的に脚光を浴びるようになったのは、竹田さんが8年前に作った「五角箸」だった。通常、箸の断面は四角や丸になっているが、竹田さんはそれを試行錯誤の末に五角形に仕上げたのだ。「多くの人は箸を塗りで選ぶ。だが、箸は道具として使うものだから、本来は機能性やデザインを大事にするべきではないか」という思いでチャレンジしたという。すると「この五角形の角度が指の関節にシックリくる」と評判に。イッ気に専門店などからの注文をもらうようになったという。

 大黒屋の箸を見て、何より驚かさせるのは箸の上部から先端まで一様に削られていることだ。つまり、上部が五角形であれば、先端までシッカリと五角形を維持しているのだ。「通常の箸は先端にいけばいくほど丸くなっており、物を掴むときに滑りやすくなっている。だから、一本一本、丁ねいに削っていき、先端まで角を残すようにしている」そうだ。

 だが、竹田さんのモノづくり魂はそれだけにとどまらなかった。「使い手に合わせた箸を作りたい」と、その後も六角箸や七角箸といった具合に、つぎつぎと新作を発表していったのだ。こうして作りつづけた箸の種類は、すでに200種に上るという。竹田さんのこだわりとオンリーワンの技術は、いまや世界からも高い評価を得ているそうだ。

 

屏風

(株)片岡屏風店

和室にも洋室にも合わせられる

次世代型の屏風を開発!!

 東武伊勢崎線・業平橋駅を降り、住宅地のほうへと足を伸ばすと「屏風博物館」という看板が目に入る。これは屏風職人・片岡恭一さんが「3M運動」(※※)の一環として運営している博物館。1階には数々の屏風が展示されており、2階には工房がある。

 最近では「使い古しの着物などを屏風に仕立て直してほしいという注文もある」と片岡さん。「古い着物なら絹か綿で作られているから、水につけたときの伸縮具合が想像できる。ところが、新しいものになると化学繊維が入っていることがあって、そうカンタンにはいかない」という。そこで、そういう場合は「着物のハジを少し切って燃やしてみる。そして、そのときのニオイや燃え方で化学繊維の種類や割合を判断する」そうだ。まさに職人の経験とカンがなせる業である。

 屏風に工夫を加えた商品開発もすすめている。そのひとつが「からくり屏風」だ。これは屏風の継ぎ目を動かすことで、絵柄が変わるという不思議な商品だ。また、洋間などにも置けるような屏風作りにも力を入れている。たとえば「通常は1片の横幅が45�だが、洋間用のものは横幅を35�にすることで、シャープな印象を出すことができる」そうだ。

 現在、屏風博物館は改装中だが、スカイツリーが完成する頃には「1階と2階を使って、モノづくり体験ができるようなスペースをつくろうと思っている」と片岡さん。というのは「スカイツリーを目当てに来る人たちに墨田区のモノづくりを伝えたい」からだ。はたして墨田区のモノづくりはスカイツリーのお膝元から生まれるか!?

 

※3M運動とは「小さな博物館」「すみだ工房ショップ」「すみだマイスター」という3つの運動の総称。工場や民家の一部を博物館として公開したり、製造と販売が一体化した新しいスタイルの店舗づくりを推進したり、職人(マイスター)の技術をPRしたりするものだ。

 

野菜菓子

(株)◆梅鉢屋

散策の折には食べてみたい

江戸時代から伝わる野菜菓子

 墨田区には世にも珍しい「野菜菓子」と呼ばれるスイーツがある。これは野菜を数日間、糖蜜で煮込んで乾燥させたシンプルな菓子。現在、この野菜菓子を作っている菓子屋は日本で2軒のみで、そのひとつがこの東京・東向島の梅鉢屋だ。

 この野菜菓子、もともとは保存食として作られてきたものだといわれており、かつてはゴボウ、ダイコン、ミカン、コンブなどで作られていたそうだ。たしかに、今でも日本各地にザボン漬、ミョウガ漬、カンピョウ漬などは存在するが、同社のように数多くの野菜を扱っている店はない。ちなみに、梅鉢屋では「季節に応じて14、15種類の砂糖漬を用意している」と丸山壮伊知さんは話す。

 野菜菓子を作る際には、ひとつひとつに手間を惜しんではならない。「砂糖漬けを作るには4〜7日ほどかかる。しかも、糖蜜で煮込んでいる間は、アクを取り除きつづけなければならないし、野菜によって糖蜜の染み込み具合も異なる。無論、気温や湿度などにも注意を払わなければいけない」そうだ。

 丸山さんは新たな野菜菓子にも挑戦している。たとえば、ゴーヤやナメコといった具合に、従来の野菜菓子にはなかった素材にチャレンジしているそうだ。こうして作られた野菜菓子はお茶会などで使用されることが多かったが、最近は「バーなどの販売ルートも見えてきた」という。

 梅鉢屋には茶寮が併設されているので、まち歩きの折に野菜菓子と抹茶で一服というのも良さそうだ。

 

製本

◆(株)伊藤バインダリー

完全受注産業からの脱却をはかる

中小製本業者のイノベーション!!

 この3年間、伊藤バインダリーは「完全受注産業からの脱却」を合言葉に突き進んできた。「08年6月頃から急激に景気が冷え込んでいくのを感じたからだ」と常務取締役の伊藤雅樹さんは話す。

 そこで、伊藤さんはエンドユーザー向けの自社商品の開発に挑戦してみることに。最初に伊藤バインダリーがチャレンジしたのは「下駄のミニチュア」だった。ダンボール古紙を利用した厚みのある台紙をつくり、それを下駄の土台にしたという。しかし、売り方もターゲットも想定しなかったため、在庫だけが残ってしまったそうだ。

 しかし、この失敗をバネにして伊藤バインダリーは見事に浮上した。そのキッカケとなったのは墨田区の「ものづくりコラボレーション」だった。デザインプランナーの松田朋春氏とタッグを組んだところ、「下駄のミニチュアに使った台紙を生かして、製本会社である伊藤バインダリーならではの�作りやすく、使いやすいもの�とは何か」ということに。松田氏からの提案をもとに、全従業員10名とともに何度も試作を繰り返したという。

 ようやく完成した「上質メモブロック」「ドローイングパッド」は紙の素材とデザインにこだわった逸品。台紙の安定感と相まってまさに上質な仕上がりになっており、書き心地はバツグン。画家や建築家など、こだわりの文具を求めるユーザーに愛用されはじめている。全商品17アイテム、価格は800円〜2400円(銀座・伊東屋など全国20店舗、自社ウェブショップで販売中)。

「昨年秋には『2010年度グッドデザイン賞』を受賞、12月には韓国ソウルでの展示会に出展することができた。これを足がかりにして、販路を拡大していきたい」と伊藤さんは意欲的だ。

 

 

〈P6カコミ㈪〉

「墨田区・早稲田大学産学官連携事業」で

墨田区と早稲田大学が地域おこしを展開!!

「墨田区・早稲田大学産学官連携事業」とは02年12月に墨田区と早稲田大学が結んだ包括協定のこと。産業振興はもちろんのこと、文化振興、まちづくり、人材育成と幅広い分野での連携を視野に入れているのが特徴だ。具体的には小型モビリティ(移動体)の共同開発、学生たちが地域に入り込む「地域経営ゼミ」(友成真一ゼミ)、ビジネスセミナーや起業塾の開催、墨田区の文化発信と一類に、実に多岐にわたっている。

 1月13日には「地域経営ゼミ」の大プレゼンテーション大会が開催され、学生たちは墨田区での研究・調査の結果をプレゼン。墨田区の職人にスポットを当てたグループや商店街のプロモーションビデオを撮影したグループなど、実に個性的な発表が行われた。今後、学生たちが墨田区でどのような活動を見せるか、大いに期待したいところだ。

 

鳩の街通り商店街から生まれた

“スカイツリー手拭い”が大人気!!

“スカイツリー旋風“は押上・あり平の5商店街から少しはなれた地域にも影響を与えている。たとえば、梅鉢屋ではスカイツリーと猫、下町をモチーフにした「出会い」というタイトルの手拭い(1500円)を販売。スカイツリーの成長とともに、2匹の猫が出会い、家族をつくるまでの過程を描いた愛くるしい作品だ。現在は梅鉢屋のほか、「張福」「天真庵」「上総屋」「スパイスカフェ」「coneru」「前田商店」といった店舗で販売されているという(販売元は「張福」)。

 ちなみに、このイラストを手がけたのは、墨田区・鳩の街通り商店街のイラストレーターである長縄キヌエさん。浅草生まれだが、ヒョンなことから墨田区に魅せられ、現在は商店街内のチャレンジショップ「鳩ノ目」にて活動を展開しているという(3月でチャレンジ期間終了につき閉店)。手拭いの売れ行きは順調で、現在はこの手拭を素材にしたバッグ(トートバッグ:2800円、肩掛けバッグ:5000円)も販売しているそうだ。「チャレンジショップが終わってからも、鳩の街通り商店街で4月2日に『古本日和』という古本フリーマーケットを開催します。今後も商店街と協力して、下町の魅力を発信しつづけたい」と意気込んでいる。

「東京スカイツリー」の4つの魅力

1高さ

 プロジェクト当初は約610�の予定だったが、自立式電波塔世界一を目指すため、634�にすることに。ちなみに634�は旧地名である「武蔵(むさし)」に由来している。

 

2形

 足元は三角形だが、高さ約300�付近から円形になっている。また、東京タワーの長辺と短辺の比が約「3.5:1」なのに対し、東京スカイツリーは約「9.3:1」と実に細長いのも特徴だ。

 

3技術

 東京スカイツリーの工法には五重塔の心柱制振など、伝統的な技法が活用されている。これは中央部に鉄筋コンクリート造の円筒(心柱)を通し、それを重り代わりにすることで耐震強度を高めるというもの。まさに新旧の技術が融合した建築物といえそうだ。

 

4ライセンス商品

 スカイツリーの画像などを使った土産品開発がすすんでいる。通常、スカイツリーの画像を使う場合は、東武タワースカイツリー�にライセンス料を支払わなければならないが、売上げ1億円まではライセンスフリーで利用できるという(要申請)。販売範囲は墨田区内に限定されるが、独自のスカイツリー商品をつくるには絶好のチャンスになりそうだ。

 
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2011年 4月 12日(火曜日) 13:43

中小企業の"駆け込み寺"

インキュベーター活用のススメ 

    世界に誇る「メイド・イン・ジャパン」(日本製)の「高品質」を土台から支える中小企業。その技術力は世界一ともいわれるが、ここ最近はリーマンショックや円高、デフレなどの影響で厳しい状況にある。グロバール化する時代を生き抜くには、中小企業といえども「脱下請け」や「海外進出」にも取り組まなければいけない。が、中小企業の体力ではそこまで手がまわらないのが現状。そこで注目したいのが、地域で中小企業をサポートしている支援機関だ。ニッチな商品を全国展開、広報力を高めるにはどうすべきか、中小企業のポテンシャルを引き出す取り組みに迫ってみた。     中小企業を支援する体制は大きく3つにわけられる。ひとつは全国規模で東北、関東、九州などのブロック別に支援を行っている(独)中小企業基盤整備機構、もうひとつは県レベルで活動する中小企業支援センター、3つ目は各地域にある商工会や商工会議所などだ。「中小企業基盤整備機構は株式公開を視野に入れたベンチャーの支援や特許権の取得などに関する経営戦略など、高度な経営課題を支援しています。それに対し、各県の中小企業支援センターは中小企業の身近な相談窓口で、専門的で細かな悩みに対する幅広い支援を行っています」と話すのは中小企業庁経営支援課の中田富幸さん。

 ところで、中小企業庁が各支援機関に実施したアンケート調査「中小企業経営支援体制の現状」によれば、企業による相談件数が多いのは中小企業支援センターが圧倒的。中小企業基盤整備機構の1年間の相談件数(平成20年度)が1万7000件なのに対し、中小企業支援センターでは14万2000件と8倍以上の相談を受けている。まさに中小企業の駆け込み寺的な存在となっているのだ。そこで『コロンブス』編集部では各県の中小企業支援センターにアンケートを実施。効果的な支援方法や工夫している点、その成果などについて聞いてみた。

 

発掘とブラッシュアップ

 中小企業の相談を受けるといっても、ただ相談を待っていたのではつぎの展開がない。そこで必要になるのが発掘作業だ。(公財)ひろしま産業振興機構では、月に1回「ひろしまベンチャー交流サロン」を開催している。毎月第4水曜日、起業家や中小企業の経営者など3社が出席して新事業のプランを発表する。それに対して、コーディネート役の証券会社(野村證券や大和証券など)や商社(三井物産、三菱商事など)、ベンチャーキャピタル(日本アジア投資、東洋キャピタルなど)、銀行(広島銀行、もみじ銀行)など30数社が支援やアドバイスを行う。このサロンのポイントは「事前にすぐれたプランを発掘すること」だとマネージャーの藪田佐久治さんは話す。「新しいアイデアを持った起業家や経営者に声をかけ、発表会に向けてプランをブラッシュアップしていく」のだという。この10年間で350社がビジネスプランを発表した。

 広島市に本社を持つ�エビオスの中本友若社長も、このサロンを通じて事業を拡大した経営者のひとり。発表したプランは鳥の忌避剤。開発のキッカケはハトやカラスによるフン害だ。これらの鳥はマンションや店先、工場などさまざまな場所でフンをするので、そのフン害が問題になっていた。対策としては妨害ネットや駆除剤を使う方法があるが「鳥を殺してしまうのでなかなか普及しなかった」という。そこで中本社長は鳥の生態を徹底的に観察。鳥が嫌がることを研究し「鳥を殺さずに2度と寄り付かなくさせる」忌避剤を開発したのだ。これまでにない発想の商品にコーディネート企業も反応。大手商社を通じて日本全国、そして米国での販売も始まった。独自の視点を持った製品の発掘と販路を持った企業とのマッチングが、新事業の発掘・育成に結びついた好例だ。

 

広域連携で情報交換

 前述した鳥の忌避剤のように、全国展開できる可能性を持った商品を手がける中小企業は少なくない。が、一支援機関の情報発信能力には限界がある。そうした問題を解決しようと、愛知県、岐阜県、三重県、名古屋市の中小企業支援センターでは、定期的に「4支援機関合同連絡会議」を行っている。各センターのマネージャーが集まり、地元企業のプレゼンや情報交換を行うという。三重県産業支援センターの経営・IT支援コーディネータ水谷哲也さんは「最近、愛知県の企業が三重に進出するといった、県境をまたいで支援するケースが増えてきました。県単位の発想では活動の幅も限定されてしまいます。たがいの情報を持ち寄ることで地元企業の販路拡大にもつながります。これからは道州制を見すえた広域的な情報交換が必要」と指摘する。

 

川上から川下まで

プロデュース

 販路拡大といっても製造業の下請工場などの場合は「自分から売り込んでいくのが難しい」と話すのは、あきた企業活性化センターの技術支援グループリーダーの永田新さん。そこで同センターでは09年度より「ものづくりパワーアップ事業」に取り組んでいる。この支援策の最大の特徴は、県内中小製造業の持つ技術の発掘から新製品・新技術の開発、売り込みまでを一貫して支援することだ。民間から採用した経験豊富な2名の専門員(パワーアッププロデューサー)が技術の目利きをし、県内外の企業に対して、セールスプロモーションを行う。この「ものづくりパワーアップ事業」は、中小製造業の持つ技術を多方面に展開できる事業として注目されている。永田さんは「中小企業のポテンシャルを引き出すには単なるコーディネートではなく、プロデュースすることが大切」と指摘する。

 商談成立にいたった案件はこれまで10件ほど。「東北地方には自動車や電子部品産業などが集積している」ので、秋田には事業拡大の可能性が広がっているという。

 

ワークショップで

経営のツボを発見

 ところで、中小企業のなかには「頑張っているのになかなか売上げが伸びない」「商品には自信があるのに全然売れない」といったように、漠然とした悩みも多い。沖縄県産業振興公社ではそうした悩みに応える「課題解決集中支援事業」を行っている。各支援機関と連携して「マーケティング」「人材育成」など、その道の専門家がワークショップを行い、問題を解決していくという。

 沖縄の素材を使った化粧品を製造販売する「カミヤマ美研究販売」は一昨年の9月から翌年の2月にかけて、5回のワークショップを受講した。「会社を設立して9年目だったのですが、それまで、ほとんどひとりでやってきたので、自分の会社を客観的に見られなくなっていました。これから何をすればいいのか、方向性を見つけたいという思いで受講することにしました」と話すのは川端郁生社長。キッカケをつかんだのは5回目のワークショップだった。ワークショップのテーマは「組織体制と人材育成」。講師は開口一番「10年前にいたスタッフが何名残っていますか」と聞いてきたという。即答できなかった。ほとんどいなかったからだ。「自分のことに精一杯で会社を担うスタッフを育ててこなかったことに気付かされました。でも、そのおかげでパッと目の前が明るくなった気がしました」と。

 川端さんは受講後、すぐに人材募集をかけた。評価基準を決め書類選考から厳しく審査した。面接はそれまでは自分ひとりで行っていたが、総務・営業・企画担当も同席させた。「それぞれの立場の意見を聞くことで、これまでとは違う見方ができるようになった」そうだ。このときに採用した従業員はいま「会社の力になっている」という。

 創業、資金繰り、商品開発に人材育成など、多様な中小企業の問題に応えてくれる中小企業支援センター。困ったときは近くのセンターに相談してみてはいかがだろうか。思わぬ効果が得られるかもしれない。   

 

インキュベーション・マネジャーに聞いた

起業家の育成・支援に必要なことは!? 

   起業家の発掘と起業家への支援などを目的に各地で行われているビジネスコンテスト。藤沢市産業振興財団(神奈川県藤沢市)と湘南新産業創出コンソーシアムが毎年開催している「湘南ビジネスコンテスト」は平成13年から続くビジネスコンテストの先駆け的存在。受賞者の育成に関わってきたインキュベーション・マネジャーの秋本英一さんは「ビジネスコンテストに必要なのは入口と出口、そして話題性」といい切る。「話題性とはコンテスト上位入賞者をメディアに取り上げてもらうこと。それが認知度を上げ、信用にも繋がる。また入口とは審査段階で、本気で起業家を育てたいと思っている投資家を集めること。起業家の多くは資金ショートでダメになってしまう場合があるからです。そして出口とは販路のこと。私は受賞した起業家には大手百貨店やスーパーのバイヤーなどを紹介するようにしています。そこでひとつでも取引が成立すればそれが実績になる。信用できる会社と取引があれば、それを信じて買ってくれる会社も現れます。そうすればおのずと事業化にも加速がついていくはずです」と。事実、湘南ビジネスコンテストではビジネスプランの目利きができる専門家が審査するのが特徴。これまでに数多くの起業家を輩出している。

 たしかに起業家にとって資金に関する悩みは尽きない。静岡県の創業支援施設SOHOしずおかでは「金融なんでも相談」が起業家に好評だという。起業家の相談を受けるのは静岡銀行出身のインキュベーション・マネジャー坂野友紀さん。融資業務を10年間、1000社と面接してきた経験を生かして、借り入れ方式のアドバイスや金融機関の紹介を行っている。「事業計画や自己資金の状況などを聞いたうえでアドバイスを行います。相談者は食品関係からクリエイターまで幅広い。なかには金融機関に融資を断られて泣きついてくる人もいます。いかに事業を継続できるかを考えてアドバイスしています」と。これまでにコーディネートした融資額は1億5000万円。09年4月に古着・雑貨を扱う「オールドキャンパス」をオープンさせた浅野剛史氏も「金融なんでも相談」を活用したひとり。「店を開くにあたり、事業計画の実現性や借入方法について相談ができてとても助かりました」と話す。起業家支援には「かゆいところに手の届く」サポートをしてくれるインキュベーション・マネジャーの存在が不可欠だ。

 
「極上の奥会津」ギャラリー 印刷
2011年 2月 02日(水曜日) 13:47

在日中国メディア特派員が厳選!!

 
駐在中国メディア特派員が福島・奥会津を観光体験!! 印刷
2011年 2月 01日(火曜日) 13:53

奥会津の「特別旅行」で中国人観光客を熱烈歓迎!!

日本政府観光局(JNTO)は1月末、10年度の訪日外国人数について861万2000人だったと発表。目標の1000万人を大きく下回る結果となった。尖閣諸島の問題で中国人観光客が大幅に減少したことが原因のひとつだが、なにより政府の広報戦略や受入れ態勢の不備こそが最大の原因と考えられる。今後は、日本の良さをシッカリ伝え、観光客を精一杯もてなし、一人でも多くのファンやリピーターを増やす。そんな基本的な観光戦略こそ大事ではないだろうか。

小生はこれまで、北海道紋別市、青森県階上町、福島県奥会津地域、新潟県十日町市、石川県輪島市などでアドバイスを実施し、そのつど、中国人観光客の受入れを提案し、受入れ態勢の充実を訴えてきた。

肝心なことは、魅力的な観光商品を開発すること。そして町やホテルにおける中国語表記、中国語を話せる人材の教育などを徹底させること。これらをおろそかにすれば、大量のツアー客を受け入れても、リピーターにはなってくれないと思うとアドバイスしてきた。

こうした話を聞いて意欲を燃やしたのが福島県の柳津町、三島町、金山町、昭和村、只見町からなる奥会津五町村活性化協議会だった。この奥会津地域は高齢化に過疎化、産業の停滞、アクセスが不便なため観光も振るわず手をこまねいていた。

この際、勢いのある中国からパワーをもらって、なんとか地域を元気にしたいと思っているのだ。さっそく、「日中記者懇話会」の幹事を務めている中国国際放送局(北京放送、CRI)と東方通信社宛に、中国政府から派遣された駐在記者の招待を依頼してきたのである。

そこで弊社は、すでに奥会津と協働事業を展開しているNPO法人ふるさと往来クラブに協力してもらい、1月15日、16日に「在日中国マスコミ人モニターツアー」(主催は奥会津五町村活性化協議会)を実施することになった。

今回参加した中国人記者は、中国国際放送局東京支局長の謝宏宇氏、新華通信社(新華社)特派員の馮武勇氏、人民日報特派員の崔寅氏(女性)、日本新華僑通信社特派員の蒋豊氏。これに旅行会社の(株)平和ITC社長の周文氏と同社インバウンド旅行開発課長の劉彤氏(女性)も加わった。

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草鞋を履く「在日中国マスコミ人モニターツアー」の一行

周文氏は弊誌09年2月号のインタビューにも登場した新華僑系旅行会社のホープである。「従来のツアー商品といえば、ゴールデンルート(東京―富士山―箱根―大阪―京都)などが中心で、それらの地域からはずれた新規の観光商品には関心が薄い」と話す。そのため、奥会津のように新しく中国人観光客を開拓しようとするならば、周文氏のような新華僑系旅行会社の協力が欠かせないのである。

出発前、参加した中国人記者たちに奥会津の印象について聞いてみた。人民日報の崔寅氏は「そもそも福島県に行ったことがなく、奥会津のことは何も知らない」と話していた。他の記者もほぼ同様だった。ということは奥会津にとって、中国人観光客へのPRはゼロからのスタートといって過言ではない。

それにしても奥会津はアクセスが不便、日本人にとっても秘境だ。今回は東京駅から新幹線で郡山駅まで行き、そこから迎えに来た貸し切りのバスに乗り、バスで奥会津5町村を見て回った。平和ITCの  氏は「中国人観光客を迎えるなら、バスによるツアーでなければ高くてムリですね。問題はどこから出発するかです。羽田空港からか、福島空港(上海定期便)からか、それとも新潟空港(ハルビン、上海定期便)からかですね」と、いち早く商品化の算段をつけていた。

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編み組を体験。中国人観光客に受けるだろうか

ちなみに新潟空港はバス代などが割高のためコストがかさむという。そうであれば、定期便による上海からの観光客を誘客し、福島空港から入ってもらうルートが有力だ。場合によっては、北京・天津からのチャーター便という手もありそうだ。いずれにせよ福島県は空港の利用料やバス代などの値下げなども検討する必要があるのではないか。

さて、郡山で一行を乗せたバスは、まず柳津町に向かった。中国人記者たちは雪景色に見入っていた。中国国際放送局の謝宏宇氏は「中国南部の人は、これだけ雪深い景色を見たことがないでしょう。南部へのPRはきっと効果的だと思います」と話した。また、新華社の馮武勇氏は「映画『非誠勿擾』のように、雪原でのラブストーリーをつくって中国で上映したら、中国人はたちまちファンになるかもしれません」とも。

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かねやまスキー場を見学

ガイドとしてバスに乗車していた柳津町役場の目黒清志氏が、柳津名物の「粟まんじゅう」を中国人記者たちに配り、試食してもらうことに。目黒氏は「今からおよそ180年前、相次いで襲った災害に柳津の人々は困り果てました。そのとき『もう災害に蕫あわ﨟ないように』との願いを込めてつくった」と粟まんじゅうの説明をした。こうしたふるさと産品の物語を伝えることはとても大事なことだ。ただ、どうやって中国人に語呂合わせを伝えられるかが課題だ。この場合も「あわないように」という日本語のニュアンスを伝えるのはなかなか難しい。味については、日本新華僑通信社の蒋豊氏は「とてもおいしいですが、中国人の中には蕫甘すぎる﨟と感じる人もいるかもしれません」と。中国人の嗜好の研究も同様に必要のようだ。

その後、柳津を象徴する寺院「虚空蔵様」(正式名称は福満虚空蔵尊圓蔵寺)を訪れた。同寺院の歴史は古く、由来は1200年前にさかのぼる。804年、弘法大師・空海は唐に渡り修行を積んだ折、帰国する際に高僧より霊木を授かった。帰国後、大師は霊木を3つに分け海に投げた。そのひとつとめぐり逢った弘法大師がその木で尊像を刻んだという。この尊像を受けた名僧が圓蔵寺を開祖したと伝えられている。

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中国との縁もある「虚空蔵様」で記念撮影

この話で大事なのは、唐に渡った弘法大師が出てくることだ。中国と縁があるこの種の逸話は、中国人観光客に親しみを感じてもらえる。こうした逸話をたくさん掘り起こしていくことが大事ではないか。

その後一行は、「金坂富山工房」で微細彫刻を見学し、「三島町生活工芸館」では編み組細工を体験した。では、こうした体験観光は中国人に受けるだろうか。平和ITCの周文氏は「中国人にとって、体験観光はほとんど馴染みがない。そこまで中国人の観光ニーズは成熟していない。近年になってやっと中国人は海外旅行をするようになったばかりだ。だから、さっさと次の観光地に行きたいという人が多いと思う。ただ、今回自分でやってみると大変面白いと感じた。上海などの都市部の人は農村文化に憧れを持つ可能性がある。工夫すればいい観光商品になるかもしれない」と話していた。

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斎藤町長を中心に記念撮影

そして、三島町役場に到着。三島町長で奥会津五町村活性化協議会長でもある斎藤茂樹氏が一行を出迎えてくれた。「中国パワーで奥会津を元気にしたいと思っています。いきなり大勢の観光客に来てもらうとは考えていません。まずは知ってもらうこと、そして少しずつ中国のお客様を奥会津にお迎えしたい」と挨拶した後、意見交換会が行われた。

周文氏は「大規模ツアーを実施するのは難しいと思いますが、修学旅行を誘致するのはどうでしょうか。伝統工芸を体験させるのは子どもの教育にも最適だと思います」と話した。その他にも、町長たち自らが中国に出向いてトップセールスを行ったらどうか、という提案もあった。

たしかに、こういったトップセールスは中国では有効だ。そもそも中国は人治国家で人脈でビジネスをするケースが多いが、さらに揚子江を挟んで北と南では人脈は明らかに違う。また、「社会主義市場経済」という社会システムに加え、官(政治・行政・マスコミ系)の民(企業・ビジネス系)に対する影響力、そして官民ともに国家級と地方級に分かれており、外国との交流もその区分けに準じていることなどを知るべきではないか。もちろん旅行業務についても同様だ。

それだけではない。外国の旅行代理店は中国で営業活動ができないのだ。とすれば、やはり在中国の有力旅行代理店とコネをつけるとか、在日華僑系のルートを確保するといったことが重要になってくる。その意味でもトップセールスは有効だ。

とまれ、日本とこれだけの違いがあるのである。今から少しずつ仕組みを構築して、数年後に安定した観光ルートを確保するという覚悟でのぞむべきではないか。

ところで、昨年来日した中国人旅行客は141万人で韓国の244万人につづく数だった。その数からいって「そろそろ定番の旅行メニューではなく、特別旅行があってもいいのではないか」といった声もあがった。たしかに、そういったニーズを嗅ぎ取った日本の旅行代理店は、中国の観光関係の幹部を招いて旅行商品の検討をはじめているようだ。

「特別旅行」とは、単に観光地を巡ったり、ショッピングをしたりするだけでなく、その地の文化や郷土料理などを体験し、印象に残る旅行をしようというものだ。日本に何度か旅行に来ている中国の富裕層は、すでに家電の買い物やゴールデンルートの観光を体験済みであり、今度は日本にしかない文化や郷土料理を楽しみたいと思っている。しかし、今のところそういったニーズを満たす観光商品は乏しい。

ならば奥会津は、今からこの「特別旅行」の商品づくりを目指すべきではないか。奥会津一帯は只見川電源流域といって日本のエネルギーのふるさとといわれている所。只見川水系には20のダム、30以上の水力発電所がある。この電源開発を推進したのは、あの白洲次郎(51年に東北電力会長に就任)で「マッカーサーを叱った男」として有名だ。そういった逸話を中国人観光客にするというのも受けるのではないか。また、民話が豊富で古来から伝わる織物(からむし織)などがあり、きわめて文化水準が高い土地柄なのだ。それは奥会津書房という地元出版社があることからも、それがわかる。高品質の「特別旅行」商品をつくれる素地は十分にあるのだ。ちなみに、この「特別旅行」については、天津中国国際旅行社(前号登場)からも期待されている。

さて、こうして中身の濃い意見交換会が終わった後は、三島町の伝統行事「サイの神」を見学。これは激しい雪の中、それぞれの集落が独自の神木を立て、五穀豊穣、無病息災を願って行われるもので、最後には氏子が皆で火を放ち、その火で持参のモチを焼くという風習だ。福島県指定重要無形民俗文化財に指定されている。

これを見た中国人記者からは「中国では和諧社会をスローガンに国造りをすすめているが、日本人の結束力の強さや和の持つ威力を知った。中国人にはぜひ見せたい」と感動していた。

そして宿泊先の宮下温泉へ。JNTOの訪日外客訪問地調査(09年)によれば、中国人観光客の訪日動機の第1位は「温泉」である。奥会津には名湯が多いので、PRには力を入れるべきだろう。温泉につかった劉彤氏は「気持ちよくて時間を経つのを忘れてしまった」というほど。ただ、宿泊した旅館の規模が小さいため、大型ツアーなどには向かない。中規模ツアーか個人旅行者の誘客がベターではないか。

最後に、奥会津の郷土料理に触れておきたい。初日に「かあちゃんのまんまや」(柳津町)で農家の家庭料理を味わい、夜に「会津こづゆ」を食べた。2日目には「玉梨とうふ茶屋」(金山町)で幻のあおばととうふを試食し、「まほろば」(只見町)で只見の郷土料理「お平」と蕎麦を食べた。「お平」とは「平椀」にまいたけ、長いも、ごぼう、昆布、油揚げなどを盛った正月料理だ。味はどの料理も好評価だった。前出のJNTOの調査でも「日本の食事」は訪日動機の第3位にランクインしている。とはいうものの、郷土料理にまつわる物語をどのように中国人観光客に伝えていくかが工夫のしどころである。

なお、奥会津に中国人記者たちが訪れると聞いて、県紙の福島民報、福島民友などが取材に訪れ、後日新聞報道され福島県内で話題になった。

今回のモニターツアーに参加した中国人記者たちは、異口同音に「すばらしい旅行だった」「奥会津の丁ねいな蕫おもてなし﨟を感じた」と話していた。これは大きな手応えである。その一方で課題も数多く見えた。中国人観光客に魅力的な観光商品の開発。福島空港からのアクセスとコスト対策。中国語で奥会津の文化をどのように説明するか。中国語ガイドの確保と育成などだ。

これらの課題をイッ気に解決することはできない。また、ひとつの組織で取り組むのも困難だ。そこで、「観光商品研究会」(事務局は東方通信社)という組織の立ち上げを予定している。観光庁や中国国家観光局などの政府職員や自治体関係者、旅行会社やマスコミなどにメンバーになってもらい、魅力的な「特別旅行」をつくり、地域振興を実現していきたいと思っている。

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最終更新 2011年 2月 02日(水曜日) 13:55
 
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