中塚一宏金融担当相は9日の閣議後記者会見で、日本郵政グループのかんぽ生命が新規事業として参入を目指している学資保険について「率直に言って審査は十分に進捗しておらず、まだ結論を出す段階でない」と事業認可に慎重な姿勢を示したと各紙が報じた。かんぽ生命は新学期が始まる来年4月からの学資保険の販売を目指している。政府の郵政民営化委員会の西室泰三委員長が7日の記者会見で学資保険の審査について「早ければ次回の委員会で結論を出したい」と話していた。中塚金融相は、かんぽ生命から出された学資保険について、新商品の販売見込みや収支計画の検討が不十分と指摘。商品改訂で販売が増加した際の他社への影響の試算も前提に問題があるとの見解を示したという。
テレビ通販の「日本直販」で知られる総通(大阪市、非上場)が経営不振に陥り、9日に民事再生法の適用を申請することが分かったと各紙が報じた。負債総額は百数十億円とみられる。総通は1961年に創業。資本金は1千万円。ペン習字などの通信教育に加え、72年に通信販売を始めた。情報番組の合間に流れる「日本直販のテレビショッピング」はテレビ通販の草分け的存在で、80年代には約200万本売れたとされる「高枝切りバサミ」などのヒット商品を生み出した。しかし最近はヒット商品に恵まれず、インターネット通販の拡大による業界全体の競争激化で苦戦。今年5月ごろから金融機関への返済が滞り、7月から主力金融機関の京都信用金庫を中心にスポンサー企業を探すなど再建策について協議していたという。
各紙によれば丸紅の朝田照男社長は6日、東京電力が新しくつくる火力発電所の建設・運営を目指す考えを示した。東電が建設・運営会社を選ぶための入札に参加する方針だ。今後は東電以外の電力会社が入札する場合にも積極的に参加するという。政府は9月、電力会社が火力発電所をつくる時には、コストを減らすため、原則として建設・運営会社を入札で決めるよう求める指針をまとめた。これに基づき、東電は2019~21年度に新設する予定の火力発電所260万キロワット(原発2基分)について、建設・運営会社を来年2~7月に入札で選ぶ。落札すれば、発電会社として東電に約15年間にわたって電気を売る。丸紅は国内外で発電所の建設・運営事業を進めてきた。現在の発電能力は計約900万キロワットあり、北陸電力の発電所を上回る規模を持つという。