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東方通信社発行 学苑報
「クルマ」と「バイク」で地域を元気にする!! |
2012年 7月 20日(金曜日) 10:56 | |||
90年頃に一世風靡したオートキャンプブーム。世のアウトドアファンはこぞってキャンピングカーを買い求め、自治体はまちおこしにつながると各地にオートキャンプ場をオープンしていった。しかし、日本人 の〝草食化〟がすすんだせいか、近年、その勢いはカゲリを見せている。実際、国土交通省都市・地域整備局講演緑地課に問い合わせてみても、「ここ最近はオートキャンプに関して目立った動きはない」という回答が。だが、依然としてクルマ・バイクファンたちによるまちおこしは健在だ。そこで、今号ではいくつかの事例をレポートしてみた。
かつて90年代にスターキャンプグラウンズというオートキャンプが7年、7回にわたって開催されたことがある。延べ7万人が参加した日本初の大規模なオートキャンプの祭典だった。全体を仕切ったのは、実は弊誌編集長の古川猛だった。開催目的は「オートキャンプで交流人口を増やしていこう」「田舎に住むというスタイルの確立」「文化、伝統、癒しのビジネス化」といった社会実験を行うことにあった。当時は空前のオートキャンプブームで4WDが異常人気だった。そして、この頃から離農、農家の後継者不足、遊休地、休耕田といった問題が取り沙汰されはじめていた。 そうした状況にあって、中央官庁(当時の農林省、厚生省、自治省、建設省など)はこぞって後援した。おかげで、全国に雨後のタケノコのように、オートキャンプ場がオープンし、目的の一端は成し遂げられた。だが、その後はご存知のようにオートキャンプ場では閑古鳥が鳴くようになり、パタッとその灯は消えた。ところが、である。輪島市や小鹿野町などではオートファンによる〝まちおこしフェスティバル〟がシッカリとつづけられていたのだ。 まず紹介したいのが「輪島オートモビルミーティング」(WAM)の取り組みだ。輪島塗などの伝統工芸で知られる石川県輪島市で、民間の手によるクラシックカーの祭典が開催され、毎年、大勢の来場者が訪れているという。今年も6月2日、3日の2日間にわたって開催され、とくにファンにとっては生唾モノのマツダ767B(ルマン走行車輌)、開発中の新型車輌のモックアップなどが注目を集めた。
この輪島オートモビルミーティングは、能登半島地震があった07年を除いて01年から毎年開催されているイベント。最近は輪島市祭りとあわせて開催されている。展示される車種は92年までに生産された国産車・外国車(外国車のスポーツカーは年式を問わない)ということもあって、当日はさまざまなタイプのクルマが100台ほど会場に並ぶ。 また、輪島オートモビルミーティングのもうひとつの楽しみが、スワップミーティングというフリーマーケットだ。こちらは何か一品を参加者のために景品用として寄付すれば、出店料が無料になるという企画。カー用品やバイク用品だけにかぎらず、雑貨やオモチャなど、さまざまなアイテムが店先に並ぶとあって、地元住民のなかにはこのスワップミーティングを楽しみにしている人も多いとか。 好きこそものの上手なれとはよくいったもので、主催者である輪島オートモビルミーティング実行委員会の下善裕さん(公務員のかたわら兼業農漁家)自身も大のクルマ好きだという。「最初はこのイベントにかかわっていなかったが、初めてイベントを見物に行ったときにサバンナやスカイラインGT‐Rなど憧れの国産のクラシックカーが展示されていることに感動した。それで自分も一緒にこのイベントの仲間になりたいと思い、参加させてもらうことにした」と話す。クルマへの情熱は小中学生の頃からだったとか。四輪を見るとなぜか掻き立てられたそうだ。「子どもの頃にどうしてもスカイラインを見たくて、自宅から自転車で2時間ぐらいかかる穴水町の日産のショールームまで行ったこともあった」と振り返る。そんな下さんの参加もあって、輪島オートモビルフェスティバルへの参加車種は国産車だけでなく、ロータス・セブンやフェラーリなどの外国車にもおよぶようになり、ファンの数も拡大していったという。 出展者、来場者ともにクルマ好きなのはいうまでもないが、最近ではその多くがリピーターになっているという。「とくに出展者の多くはリピーターになっている。輪島オートモビルフェスティバルに参加すれば、あの人に会える、こんな楽しみがあるという期待感もあって、多くの人が観光も兼ねて参加してくれている」と下さんは話す。実際、出展者のひとりに話を聞いてみると「輪島に来るのは毎年の楽しみ。イベント開催日が待ち遠しくて仕方がない」と話していた。 リピーターが増えている要因のひとつに、出展者に対する主催者側の気遣いがある。たとえば、今年は参加者にWAMオリジナル輪島漆塗り箸、WAM謹製オトナの塩せんべい、WAM謹製玄米、WAMステッカー、輪島産塩ワカメといった記念品が配布されたという。「玄米は能登半島が世界農業遺産に登録されたので、参加者の皆さんに地元のお米を食べていただこうと思って配布した。せっかく輪島に来ていただくのだから、記念品でも輪島の魅力を感じてもらいたい」と下さんは微笑む。 ところで、このイベントは現在、下さんをはじめとした23名のスタッフで運営されている。その内訳は輪島在住者が主だが、クルマ屋もいれば、魚屋、床屋、神主、役人、森林組合員もいるといった具合に、業種も年齢もバラバラ。「とにかくクルマが好き。輪島を元気にしたい」という人たちが集まっているという。そのため、開催するごとに新しい企画が誕生しているそうで「今年は本場のレースクイーンを呼び、会場に花を添えてもらった」そうだ。 それにしても、民間主導のこのイベントがここまで継続している原動力は何なのか。下さんに聞いてみると「自分たちのことを認めてくれる〝土壌〟が輪島にあったからだと思う」と話す。そして、今後は「輪島の魅力を感じてもらい、定住人口増加の一助になりたい。いずれ、このイベントと抱き合わせで、1週間あるいは数カ月単位で輪島に住んでもらうような取り組みも提案していきたい」と楽しげに抱負を語った。 今年の開催は終了したが、7月22日には石川県小松市で同実行委員会が開催する「第12回 金沢クラシックカーミーティング in 日本自動車博物館」が開催される。興味がある人はこちらを覗いてみることをオススメしたい。 また、首都圏在住者でクラシックカーイベントに関心がある方にも朗報がある。関東近県では埼玉県北本市の北本総合公園では、11月14日に「クラシックカーフェスティバルin北本きくまつり」が開催される。このイベントは北本きくまつりの一環として09年からスタートし、今年で4回目の開催となる。展示のほか駅前通りではパレードも開催されるので、実際に動いているクラシックカーの雄姿を目の当たりにできる貴重な機会だ。展示者の多くは関東在住者で、昨年は140台前後が展示された。来場者は年々増加傾向にあり、昨年は6400名にも上ったそうだ。秋の行楽にバッチリ、ファンの方ならずとも足を運んでみてはどうだろうか。
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最終更新 2012年 7月 20日(金曜日) 11:17 |