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Home ぐるっと日本 甲信越 山梨県 大学での「言語教育」を通して 日中間の"誤解"を解消したい!!
大学での「言語教育」を通して 日中間の"誤解"を解消したい!! 印刷
2013年 3月 05日(火曜日) 00:00

<ゲスト>

劉勇(りゅう・ゆう)

<プロフィール>

1966年天津市生まれ。86年天津外国語学院日本語学部に入学。90年天津ラジオ放送局に入局。97年愛知教育大学大学院教育学研究科に入学。99年名古屋大学大学院教育発達科学研究科に入学。06年天津外国語大学日本語学院准教授。

天津ラジオ放送局を経て、現在は中国屈指の日本語教育を展開している天津外国語大学日本語学院(中国・天津市)の教授として活躍中の劉勇氏。昨年から今年の4月までは武蔵野大学(東京都西東京市)で中国語の教鞭を取っているという。日本と中国のことに精通し、教育を通して両国の"誤解"を解消することに努めている。さっそく、これまでの歩みと現在の取り組みについて聞いてみた。

謝宏宇・北京放送東京支局長 日本に興味を持つようになったキッカケを教えてください。

劉勇・天津外国語大学日本語学院教授 私が日本に関心を持つようになったのは、天津外国語大学(当時は天津外国語学院)の学生だったときのことです。日本近畿青年洋上大学の訪中団(300名の大学生)と大学で交流し、日本のことをもっと知りたいと思うようになったのです。そして、日本語を学ぶだけではなく、日本の社会文化も勉強したいと思うようになっていきました。とくに日本の「他国の文化を最大限に吸収し、自国の風習にうまく融合させていく」という「改善文化」に関心を持ちました。

謝 大学卒業後はどのような仕事に就いたのですか。

90年に天津ラジオ放送局に就職し、大学での研究成果を生かして、日中友好に関する番組を担当することになりました。天津ラジオ放送局は中部日本放送と番組交換を行っており、私は日本の番組の翻訳や天津の情報番組『天津からこんにちは』の制作などを行っていました。『天津からこんにちは』は延べ135回も放送され、天津の人たちの暮らしぶりや一人っ子政策の問題点などを放送しました。

当時、東方通信社や中国国際放送局や天津ラジオ放送局などが共同主催する「日中友好の声日本語中国語弁論大会」がはじまり、その実行委員も務めたそうですね。

「日中友好の声日本語中国語弁論大会」は中国で日本語を学習している学生たちが集い、たがいの日本語能力を競う大会で、私は組織の運営はもちろんのこと、案内書の作成なども担当しました。現在も大会は開催されており、私は今も運営に携わっています。

謝 弁論大会を運営して気付いたことはありますか。

私自身も体験したことですが、出場者たちの多くは日本と交流することで何かしらのトラブルを経験しています。しかし、それこそが異文化交流の原点であり、それを乗り越えることで真の友情を見つけることができます。出場者たちにはそのあたりに気付いてほしいと思っています。

謝 96年に愛知教育大学に留学したそうですが、そのときはどのような思いを抱いていたのですか。

日本のことを知るにつれて、日中間にはさまざまな違いがあることがわかってきました。しかし、日本のことを知らない人は、日本と中国はどちらも?漢字文化?という共通点を持っているし、日本人と中国人の外見も似ているので、無意識的に同じような文化や風習を持っていると感じてしまいがちです。そのため、チョットした違い?誤解?につながってしまい、大きな問題やトラブルにつながってしまうことがあるのです。

私はそういったことを実感するようになり、もっと日本のことを学び、それを中国に伝えることで、?誤解?を解消しなければならないと思うようになっていきました。そして、愛知教育大学に留学し、あらためて日本の明治時代の文化などを学びました。そして、99年には名古屋大学の博士課程に進学して教育社会学を学びました。妻や周囲の人たちに支えられながら、放送大学や生涯教育をテーマにした研究を行い、博士論文を書き上げました。

謝 その後、母校の天津外国語大学で教鞭を取るようになったそうですね。

天津ラジオ放送局に戻ることもできたのですが、もっと学問を深めたいと思い、天津外国語大学日本語学院(日本語科)で教鞭を取りながら、自分の研究もすすめることにしました。現在、天津外国語大学の学生数は1万人弱で、そのうち日本語学院の学生数は1260名です。私の授業ではたんに文法や発音、ヒヤリングだけでなく、教材に日本のニュース番組やテレビドラマ、ドキュメンタリー番組を使って、日本の社会についても理解してもらうようにしています。今回の来日で得た知識も学生たちにキチンとフィードバックしたいと思っています。

謝 現在は日本の武蔵野大学で教鞭を取っているそうですね。

去年の4月4日から今年の3月まで武蔵野大学で教鞭を取る機会に恵まれ、中国語の教師として教鞭を取っています。私はいま100名以上の学生に中国語を教えており、昨年は武蔵野大学でスピーチコンテストを初めて主催しました。今回は審査員も務めさせていただいたのですが、学生たちのレベルの高さには正直いって驚かされました。

謝 日本と中国の学生に接してみて、それぞれにどのような印象をお持ちですか。

日本の学生は元気で礼儀正しくオシャレです。また、学園祭で自主的かつクリエイティブに活動している様子が非常に印象に残っています。他方、中国の学生は勉強に対しては意欲的ですが、礼儀やコミュニケーション能力は日本の学生たちに劣っているかもしれません。これからは中国の学生にも日本語だけでなく、礼儀やコミュニケーション能力も培ってもらえるようにしていきたいですね。

謝 日本での経験を大いに生かしてください。本日はありがとうございました。

最終更新 2013年 3月 05日(火曜日) 15:05
 

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