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Home ぐるっと日本 甲信越 山梨県 日中間の会計基準や商習慣のギャップを埋めたい!! 
日中間の会計基準や商習慣のギャップを埋めたい!!  印刷
2011年 4月 14日(木曜日) 15:08

監査法人アヴァンティアで活躍する王欣氏は、来日して以来、寝る間を惜しんで日本語と公認会計士試験の勉強に没頭。悲願だった公認会計士試験に合格した今、故郷の天津で監査法人アヴァンティアの支社を立ち上げることを目標に掲げて奮闘している。そんな王氏の日本での生活ぶりを人民中国東京支局記者の單濤氏にインタビューしてもらった。

    監査法人アヴァンティア

公認会計士試験合格者

王欣

   81年生まれ。04年天津商業大学卒業。04年10月来日後、06年4月千葉大学法経学部経済学科に入学。09年11月公認会計士試験(日本)に合格。2010年3月千葉大学を卒業後、監査法人アヴァンティアに就職し現在に至る  

  單濤・人民中国東京支局記者 王さんはどちらのお生まれですか。

王欣・監査法人アヴァンティア(公認会計士試験合格者) 私は中国天津市で生まれ、天津商業大学でマーケティングを学びました。子どもの頃から数学が好きで、いつかは公認会計士になりたいと思っていました。

單 日本にはどのような経緯で来日したのですか。

王 子どもの頃から日本の相撲やアニメが大好きで、日本には憧れを抱いていました。そして、大学で日本への留学経験がある先生から、日本の生活や環境のことを聞き、日本に留学したいと思うようになったのです。しかし、両親には猛反対されました。私の父親は学校の校長先生だったので、私にも中国で教員の道を歩んでほしいと思っていたのです。親戚の後押しもあって留学することができましたが、両親を説得するのには苦労しました。

單 日本語はどのようにして勉強したのですか。

王 天津外国語大学で3カ月ほど簡単な日本語の勉強をしてから、福岡の日本語学校に通いました。最初に福岡に着いたときは、これからの生活に対する期待感でイッパイでしたね。そのときに感じた福岡のキレイな街並みと空気は、今でも鮮明に覚えています。

單 日常生活ではギャップを感じませんでしたか。

王 一人っ子で甘やかされてきたこともあって、一人暮らしになれるまでに時間がかかりました。ですが、日中間のギャップはそれほど感じませんでした。しかし、なかなかアルバイトは見つけることができませんでした。半年弱くらいかかりました。そのあたりに中国人留学生に対する風当たりの強さを感じました。その後、先輩からの紹介で新聞配達の仕事に就くことができ、朝刊と夕刊を配り、その合間に学校に行ったり、勉強したりするような生活を送るようになりました。収入は月に10万円ほどで、初めて給料をもらったときは涙が出るほど嬉しかったです。とはいえ自分の時間は一切なく、春節の時期に大雪が降ったときは、ついつい故郷のことを思い出して、新聞配達をしながら泣いてしまった覚えがあります。

單 そういった時期を経て千葉大学に入学したのですね。

王 関東の大学で経済に関する勉強をしたいと思ったのですが、東京は家賃が高いから大変だろうと思い、千葉大学法経学部に進学することにしました。と同時に、簿記の勉強も本格的にはじめ、1年生のときに3級、2年生のときに2級の試験に合格しました。

單 その間もアルバイトはしていましたか。

王 もちろんです。学費を稼ぐために、週末の3日間はコンビニで働くようにしていました。そして、2年間のアルバイト生活で貯めたお金すべてを、専門学校の入学のために使いました。お金を納めるときは思わず手が震えてしまいました。

單 それからは専門学校で公認会計士の試験勉強に励んだのですか。

王 千葉のコンビニで朝5時〜9時のバイトをしながら、昼と夜は専門学校に通いました。しかし、大学の先生と違い専門学校の先生は早口だったので、最初は日本語のスピードについていくのがやっとでした。ですが、先生方に勉強のスケジュールの立て方などを教えてもらい、何とか授業についていけるようになりました。電車に乗っても眠らないように、あえて立ったままで勉強するようにしたりしていました。今思い返しても大変な日々でしたが、そのおかげで一発で公認会計士試験に合格することができました。

單 現在は監査法人アヴァンティアにお勤めですが、実際に仕事をしてみてどんな感想を持ちましたか。

王 学校では会計基準や監査基準のことを勉強してきましたが、その企業がどんなビジネスモデルを持っているのか、どういう状況なのかを把握することのほうが大事だということがわかりました。それにはプロのカンが必要になってくるのですが、これからの実務経験でそういったカンを培っていきたいと考えています。

 また、日本人の仕事に対する姿勢や人に対する接し方も身につけたいと思っています。たとえば、中国では打ち合わせや商談の際にもコートを脱がないことがありますが、日本ではキチンとコートを脱いでから顧客と会うのが当たり前です。やはり相手を尊重することはビジネスの基本だと思いますから、こういった姿勢を身に付けていきたいと思うのです。

單 今後はどのような目標を持っていますか。

王 将来は監査法人アヴァンティアの支社を天津に出したいと思っています。そして、日本と中国をつなぐようなビジネスを展開していきたいと考えています。ですが、まずは自分自身が日本の監査の手法や理念を身に付けて、クライアントに良質なサービスを提供していけるようにしたいと思っています。また、日本と中国では商習慣などに大きな違いがあります。たとえば、中国では土地の所有権が認められていませんし、相続税などもありません。会計基準も日本と中国では大きく異なります。だからこそ、こういった違いがもたらすビジネスリスクを、日本に発信していきたいと考えているのです。ちなみに、今は監査法人アヴァンティアのウェブサイトで「王と申します」というコラムを書いており、そのなかで日中の会計基準や商習慣の違いについて書いています。

單 日中の経済交流を活発化させるために頑張ってください。本日はありがとうございました。  

  人民中国東京支局記者

單濤

(ぜん・とう ダン・タオ)

79年生まれ。02年4月千葉敬愛大学国際学部に入学。06年3月卒業後帰国、6月人民中国雑誌社に入社。10年3月記者として人民中国雑誌社東京支局に配属され再び来日後、現在に至る    

 

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