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Home ぐるっと日本 甲信越 山梨県 日中両国の「真実」を伝えるために 現場主義のジャーナリズムを実践!!
日中両国の「真実」を伝えるために 現場主義のジャーナリズムを実践!! 印刷
2013年 3月 08日(金曜日) 00:00

〈ゲスト〉

蔡成平(さい・せいへい)

新浪財経東京特派員

〈プロフィール〉

1984年山東省生まれ。『新浪財経』東京特派員を務めるかたわら、早稲田大学大学院法学研究科で学ぶ。『朝日新聞中文網』編集スタッフ、『日本新華僑報』コラムニスト、『中央電視台特約』コメンテーター、『ファイナンシャル・タイムズ中国版』ライターとしての顔も持つ。『柳井正とユニクロ』(浙江人民出版社)、『中国を変えた最強メディア 微博(ウェイボー)の衝撃』(李小牧との共著、阪急コミュニケーション)を刊行。

〈インタビュアー〉

賈秋雅(か・しゅうが)

尖閣問題以降、いまだに日中関係は緊張状態がつづいている。その状況について、新浪財経東京特派員の蔡成平氏は「日中両国はそれぞれが先入観による報道をつづけいる」と指摘する。そして、みずから松下政経塾で研修生として学ぶなど、精力的に日本の実情を体験し、そこで感じたことを日中両国に伝えている。さっそく、人民中国雑誌社東京支局長の賈秋雅氏にインタビューしてもらった。

賈秋雅・人民中国雑誌社東京支局長 蔡さんは日中の政治・経済のジャーナリストとして活躍していますが、どのよな経緯で日本に関心を持つようになったのですか。

蔡成平・新浪財経東京特派員 私は湖南省の大学で学んだのですが、入学するまでは日本語を勉強する気はなく、第1希望は法律、第2希望は金融、第3希望は英語でした。しかし、中国ではよくあることなのですが、国の調整で全然希望していなかった日本語専攻に回されることになったのです。最初はあまり気がすすみませんでしたが、勉強しているうちに日本の文化や経済に興味を持つようになり、留学したいと思うようになりました。

賈 留学するまでは中国で働いていたのですか。

蔡 大学で2年ほど講師の仕事をしていました。その後、08年4月から広島大学に留学して政治思想史を学びはじめました。そして、2010年に上京し、現在はジャーナリストとして活動しながら、早稲田大学大学院法学研究科で勉強しています。

賈 最近はさまざまなメディアで政治・経済に関する記事、コメントを発表していますね。

蔡 中国のネットメディア『新浪財経』をはじめ、『ファイナンシャル・タイムズ中国版』、『朝日新聞中文網』、『日本新華僑報』、『中央電視台』などで記事やコメントを発表しています。当初は留学生活で感じたことなどを執筆していましたが、最近は日本の政治家や実業家を取材し、原稿を書いています。

賈 私は蔡さんが書いた「松下政経塾体験記」という記事に非常に興味を持ちました。松下政経塾での研修生生活のときの様子や感じたことを書いたものでしたが、どういうキッカケで松下政経塾の研修生になったのですか。

蔡 日本の政治家、とくに民主党の政治家の多くが松下政経塾出身だということに興味を持ったのですが、ネットの情報だけでは松下政経塾がどのような組織なのか、そしてどのようなことを学ぶことができるのかがわかりませんでした。そこで、2010年10月頃にみずから松下政経塾の研修プログラムに応募してみたのです。

賈 実際に松下政経塾で学んでみてどのような印象を持ちましたか。

蔡 中国では松下政経塾が右翼組織であると報じられることがありますが、実際に入って見るとけっしてそんなことはないと感じました。商社マン、自衛隊員、学生など、さまざまな立場の若者たちが熱い討論を重ね、選挙戦のノウハウ、武士道や論語などの思想を学んでいました。たとえば、松下政経塾では松下幸之助氏の教えを守り、掃除することをとても重視していました。掃除をキチンとすれば、考え方を整理できるし、心もキレイにすることができるというわけです。これはとても素晴らしい考え方なので、中国の政治家や官僚も参考にするべきだと思います。そういったことを記事にしてみたところ、ちょうど中国でも民主党が注目を集めていた時期だったので反響があったのだと思います。

賈 メディアに携わる上でどのようなことをモットーにしていますか。

蔡 現場主義を重んじ、ひとりでも多くの人たちと接し、さまざまな情報を収集していきたいと考えています。また、最近の日中関係の本や記事を読むと、たがいを批判し合うものが大半を占めていますが、私はもっと冷静に日中関係を捉えた記事を書きつづけたいと思います。

賈 客観的な情報を盛り込んでいくということですか。

蔡 メディアは客観性を重んじるべきだといわれますが、それはムリだと考えています。ひとりの人間が自分が見聞したことを書くわけですから、どうしても自分の考え方が反映されてしまうからです。ただ、「日本は軍国主義に回帰している」といった決めつけながら記事を書くのではなく、現場取材を通じて日中両国の状況を分析し、その結果を自分の考えにもとづいて書いていきたいと思うのです。それが本来のジャーナリズムの姿ではないでしょうか。

賈 2冊の著書を出していますが、それぞれの内容についてお聞かせください。

蔡 1冊目は『柳井正とユニクロ』という本で、中国の出版社で刊行したものです。ユニクロの服は9割ぐらいがメイド・イン・チャイナなのですが、中国にはユニクロのような世界的な服飾メーカーが存在しません。私はかねてからその理由は何なのかと考え、この本を執筆したのです。イロイロと調べて感じたのは柳井正という人物が世界でも最先端のグローバルな視野を持っていたということです。社内コミュニケーションの英語化などはその一例だと思います。

もう一冊は李小牧氏と共著した『中国を変えた最強メディア微博(ウェイポー)の衝撃』です。ウェイポーはここ3年で急激に伸びたネットメディアで、ツイッターとフェイスブックが合体したようなものです。ウェイポーには中国人の生の声が出ています。たとえば、それを見ると多くの中国人が反日デモに対して反感を抱いていることがわかります。

賈 これからも日中両国の「真実」を報じつづけてください。本日はありがとうございました。

 

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