四国の北西部にあり、北は瀬戸内海、西は宇和海、豊後水道に面し、南は四国山地をへだてて高知県に接している。瀬戸内海・宇和海に浮かぶ200余りの島々も含まれ、面積は5678平方㌔㍍、人口は約143万人で四国第一位を誇る。瀬戸内地域は温暖で、晴れの日が多いが、宇和島市より南部では雨が多く、山間部は冷涼になっている。

南側に急峻な四国山地が連なり、山地や盆地の多い地形となっており、平野は瀬戸内海に面した新居浜、今治、松山地方に広がっている。そのため、山の斜面を利用した果樹栽培が盛んに行われている。ちなみに、その多くは柑橘園で、特に温州ミカンでは全国の栽培面積の約15㌫を占めている。温州ミカンのほかにも、イヨカン、夏ミカン、ポンカンといった中晩柑類の生産が盛んで、柑橘類の生産量は日本一を誇っている。また、柑橘類のジュース、ゼリーといった加工品の生産も多く行われ増えている。それ以外の果樹においても、キウイフルーツの生産が全国1位で、クリやビワなどの生産も多い。

水産業ではタイやエビの漁獲量が全国有数である。宇和海を中心に養殖業が盛んで、タイは日本一の水揚げ量を誇る。また、真珠の養殖も行われており、その他の産地である長崎県や三重県と生産量を競っている。

また、愛媛県は瀬戸内工業地域の一角をなし、県の東部～中部地方は四国を代表する工業エリアとなっている。新居浜市には石油化学コンビナートがあり、西条市に電気機械、松山市に機械、四国中央市に製紙、今治市に造船、繊維工業などの拠点がある。

観光の中心となるのは県庁所在地の松山市。市内にある松山城は、日本有数の規模をほこる天守閣を有し、国の重要文化財に指定され、その美しい姿をとどめている。また、「日本三古湯」のひとつとして数えられ、3000年以上の歴史をもつ「道後温泉」も人気の観光地だ。代表的な伝統工芸品としては、砥部焼や大洲和紙などがあげられる。