2010年がまもなく終わろうとしています。各国は経済回復に全力を挙げており、世界情勢は、冷戦終結後もっとも大きな変化が起きています。この変革の中で、中国は世界の表舞台の中心に向かって突き進んでいます。
このほど、温家宝首相はインドを公式訪問しました。外から見れば、中印両国間のいわゆる「龍と象」の争いは依然として終わっていません。しかし、温家宝首相の今回の訪問で述べたように、問題の解決には忍耐が必要です。
中国外交は2010年に大きな試練を受け、人々に深い印象を与えました。中国とアメリカ、また、中国と隣国の日本との関係を例に挙げ、中 国清華大学の楚樹龍教授は、「1月に、アメリカによる台湾への兵器売却によって、中米関係が比較的困難な状態に陥った。年末になって、為替レートや、黄海 での軍事演習などの問題によって、両国関係は例年に比べ煩わしいことが増えた。中日関係は9月7日の釣魚島漁船衝突事件のために、冷え込んだ」と述べまし た。
今年、中国外交がより多くの問題を抱えるようになった背景は、世界の中国を見る目が変わったことにあります。
今年9月、アメリカのオバマ大統領は全国の学生へ向けた新学年によせるメッセージの中で、特に中国とインドに触れ、「中国とインドの学生 は昔より、更に勉強するようになった。将来、君たちは彼らと競争することになるだろう。学校での成功によって、君たちの将来が決まるだけではなく、21世 紀におけるアメリカの将来も決まる」と述べました。
楚樹龍教授は、「世界構造の枠組が冷戦後において、もっとも深刻で、重大な変化が起きていることを考慮して、アメリカは唯一の超大国とし て、こうした変革の中にある中国を無視することができないだろう。数年間続いた変化は、中国の上昇、アジアの上昇、欧米の発展が相対的に停滞し、アジア全 般の発展がその他の地域より進んでいることだといえる」と述べました。
中国の勃興によって、特に、今年第2四半期に、中国は日本を超え、世界第2位の経済体となった後、世界の見る目が変わりました。しかし、 国際経済界の予測では、中国が世界2位になるのは早くても2015年になるということでした。こうした背景の下、中国が長年とってきた輸出指向型経済が世 界経済の均衡を崩した責任を負うべきだと指摘され、人民元問題でますます大きな圧力を受けるようになりました。これについて、中国国際関係研究院世界経済 研究所の陳鳳英所長は、「人民元問題は今年の中国外交における敏感で、処理しにくい問題となった。人民元問題はアメリカによって大げさにされてから、多国 化されつつある」と語りました。
しかし、思いがけないことに、11月のソウルサミットで発表された共同コミュニケでアメリカによって人民元切り上げへの圧力をかけるとい う表現はありませんでした。サミットに先たち、中国の胡錦涛国家主席のフランスやポルトガルへの訪問、および、中国と欧州との頻繁な交流はこの圧力の減少 に大きな役割を果たしたと言えます。ソウルサミットだけではなく、今年のサミット外交は自国と世界との関係を見る中国の戦略的な見方を示したほか、国際金 融システムの変革、気候変動対応、エネルギー資源安全、公共衛生安全保障など10余りの世界サミットにも、中国の指導者の姿が見られました。中国は自国の 発展を図り、世界の発展のための良好な環境をつくるために努力してきました。
今年、中国の指導者は世界50余りの国を訪問しました。大国関係を適切に処理し、焦点となっている問題の対応では建設的な役割を果たし、発展途上国との連携を強化した一連のやり方は、温家宝首相が言った「真実の中国」のイメージをつくりました。
温家宝首相は「中国は今後も世界各国との共通の利益を求め、拡大していく。中国の発展はいかなる人も損なうことができず、いかなる人も脅かすこともできない」と述べました。
2011年は、国際関係の構造がまた変化し、中国は重要な国際問題と地域問題の中で重要な建設的な役割を果たしていくことが予想されます。 |