米国にはどのような信頼性が残っているのか 印刷
2019年 5月 19日(日曜日) 18:03

国連の発表によると、中国は世界第2位の分担金負担国であり、最近も国連通常予算の12.01%を納入した。国連のステファン・ドゥジャリク事務総長報道官も記者会見で、中国に対して、わざわざ中国語で「謝謝(シエシエ=ありがとう)」と述べた。

鮮明な対比を示しているのが米国だ。米国は国連の分担金が最も多い国だが、今年1月1日の時点で、国連通常予算の分担金が3億8100万ドル、平和維持活動(PKO)分担金では7億7600万ドルが未払いだ。もちろん、米国に支払い能力がないのではない。未払いの背景には実際のところ、米国が国連などの国際組織を軽視しており、多国間の協調メカニズムを「役に立てば利用し、立たねば捨てる」とするやり方がある。つまり、「米国優先」の覇権思想が反映されているわけだ。

米国は現政権が登場して以来、気候変動についてのパリ協定、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連人権理事会(UNHCR)、イラン核問題についての全面合意から離脱し、現在は国連武器条約から脱退しようとしている。その一方では、関税という「ムチ」を四方八方に向けて振り上げ、中国、EU、日本、メキシコ、カナダなど多くの貿易パートナーへの圧力を強めている。その原因は、米国は自らが主導して築いた第二次世界大戦後の国際秩序や世界貿易などの規則が現在は役に立たなくなったと考え、米国が主導し、かつ、自らが特権を持つ単極構造の世界を再構築しようとしていることだ。

米国のやり方の本質とは、自国の利益は国際規則を凌駕したその上にあるとして、米国が持つ国際規則を超越した特権を確保し、少しずつ目立たぬ形で米国式の覇権を維持することだ。しかし「米国優先」は結果として、まずは「米国の優越性」を損ねている。例えば、長期に渡る金銭面の不履行や度重なる脱退は、米国の国家としての信用に深刻な「ツケ」をもたらし、米国の国家利益を傷つけてしまった。

最近になり、米国のソンドランド駐EU大使は欧州防衛基金について、関連規則を適用すれば米国企業が欧州防衛に関連しての契約を獲得できないとの見方を示し、制裁行動を取ると威嚇した。これに対してドイツとフランスの両国は、自ら「欧州軍」を設立し、欧州防衛の独立を推進し、安全面における米国への依存から脱却すると発表した。

これらと同時に、一方的な関税政策は米国の消費者を第一の被害者にする。統計によれば、追加関税のために2018年には米国の農業の純利益が12%減少し、昨年以来、経済には78億ドルの損失が生じた。もしも中国商品2500億ドル分について25%の追加関税を課せば、銅とアルミ製品への追加関税だけで、米国では毎年93万4000人分の雇用が失われることになる。

「道を得たる者は助け多く、道を失える者は助けすくなし」と言う。当今のグローバル化と多極化の舞台の上で、米国は日増しに封鎖と孤立への道を歩んでいる。それをもたらしているすべては、歴史の潮流に背く「米国優先」の政策だ。